頻尿・尿もれ

頻尿

  • 夜トイレに行きたくて何度も目が覚めてしまう
  • 尿の回数が多い(通常、昼間の排尿間隔は2〜3時間毎です。)
  • 急に尿意を催して困ることがある

頻尿は、加齢とともに悩む人の割合は多くなりますが、一部を除いて命に関わるものではないため、放置してしまいやすい病気です。

中高年男性の場合は「前立腺肥大症」が頻尿の主な原因です。他にも膀胱の筋肉や自律神経の老化、ストレスによる精神的要因の可能性もあります。家では大丈夫なのに職場だとトイレが近くなる、という方もいます。

程度がひどくなると、外出が億劫になってしまったり、仕事に集中できないといったこともあると思います。生活の質を上げるため、また潜在的な病気を見逃さないため、一人で悩んであきらめてしまう前にご相談ください。

過活動膀胱

一般的に「頻尿」と言うと、過活動膀胱という病気の症状である場合が多いです。男性は前立腺肥大症と併発する方も多くいます。

過活動膀胱は、本来ゆったりと尿を溜められる膀胱が、尿を溜めている途中でひどく緊張してしまう病気です。日本排尿機能学会の2012年の調査では、1,040万人もの人に過活動膀胱の症状があると推定されています。

主な症状

  • 尿意切迫感 突然生じる我慢できないような尿意
  • 頻尿 昼間に8回以上
  • 夜間頻尿 夜1回以上トイレへ行くために起きる
  • 切迫性尿失禁 尿意切迫感と同時、もしくは直後に失禁をしてしまう

トイレが近いといった軽い自覚症状から、切迫性尿失禁の症状が出る場合など程度はさまざまですが、生活の質に関わるというだけでなく膀胱がん膀胱炎尿路結石前立腺肥大症といった別の病気が潜んでいる可能性もあります。

膀胱がんや尿路結石は早期発見が望ましいのですが、初期の膀胱がんには痛みや発熱などの分かりやすい自覚症状がありません。そういったリスクを見逃さないためにも、頻尿の自覚症状がある方は泌尿器科にご相談ください。

お近くに泌尿器科が無く通うのが大変な方は、症状や治療法が安定してきた段階でお近くの内科等に移っていただく診診連携も対応いたします。

原因

原因は大きく神経因性と非神経因性に分けられます。神経因性の場合は脳梗塞や脳出血、パーキンソン病といった脳疾患、脊髄損傷、お子さんですと二分脊椎症(にぶんせきついしょう)という先天的な形成不全も原因となります。

一方、非神経因性の場合はメタボリックシンドロームなど生活習慣病が関係することが明らかになっています。女性の場合は骨盤底筋の緩み、男性の場合は前立腺の問題が原因となることもあります。

このように40歳以上の患者数が多いものの、老若男女に関わらず発症する病気であると言えます。

診断方法

4つの主な症状についての問診を行います。尿検査も行い、膀胱がんやその他の泌尿器疾患が潜んでいないか、必ずエコー検査も行っています。

過去には過活動膀胱で受診した患者さんにがんが見つかったこともありますので、慎重な診察を心がけています。また、当院では必要に応じて排尿記録も行っています。丸2日間に渡り、トイレに行った時間、排尿量、飲水量を記録してもらい、排尿状況を正確に把握します。

こういった過活動膀胱の診察はすべて衣服を着用したまま行い、身体や精神的な負荷も少なくご相談いただけるようにしています。

治療方法

行動療法では、睡眠前の飲水量を控えるなど、適正な水分の取り方を指導します。また膀胱訓練といって、正常な排尿間隔を取り戻すトレーニングを行います。

排尿間隔が短く、溜まっている尿が少ないにも関わらず起こる尿意は、我慢をすると薄れていきます。尿意を正しくコントロールすることで排尿間隔を少しずつ伸ばしていきます。

行動療法と合わせて、膀胱神経の緊張をほぐす内服薬を患者さんの体質に合わせて処方します。重篤な患者さんには、下腹部に低周波を流すことで骨盤底筋を鍛えたり、膀胱の弛緩を促します。いずれの治療も保険診療で受けていただくことができます。

尿もれ

尿失禁(尿もれ)とは、自分の意に反して尿をしようと思ってない時に尿が漏れてしまう症状を指します。尿もれには、3つのタイプがあります。

  • 切迫性尿失禁 急に尿意をもよおして、同時、もしくは直後に失禁をしてしまう
  • 腹圧性尿失禁 咳をしたり運動などでお腹に力が入りもれてしまう
  • 混合性尿失禁 切迫性尿失禁と腹圧性尿失禁の両方を併せ持つ

尿もれの原因は、膀胱や脳の病気の可能性があります。また、女性の場合は、元々尿道が短いため尿もれしやすく、出産や加齢に伴い膀胱や尿道を支えている骨盤底筋群が緩むことなども原因として挙げられます。

尿もれの治療


尿失禁治療装置

  • 尿失禁治療装置による治療
    当院では服を着たまま尿失禁を治す干渉低周波治療を行っています。治療は痛みを伴う事はなく、1回20分間、治療最初の3週間は週2回の計6回で開始し、後は月に2回の通院をしていただきます。
    干渉低周波治療は保険診療となります。
  • 骨盤底筋体操
  • 薬物療法
  • 手術療法

※尿失禁治療装置による治療ができない方

  • 妊娠又は、妊娠の可能性がある女性
  • 心臓ペースメーカーなど体内に金属を入れている方
  • 産後1ヶ月以内の女性
  • 不整脈のある方
  • 生理中の女性
  • 糖尿病などによる高度な末梢循環障害による知覚障害のある方

夜尿症(おねしょ)

子どもの頃、誰しもが経験しているおねしょですが、就学しても治らないおねしょについては夜尿症という病名がついています。

お子さんのおねしょについてお悩みの方はこちらをご覧ください。

大人になるとまったくおねしょをしなくなるのかと言うと、そうではありません。むしろ、他の病気が隠れている可能性があるため、早めに泌尿器科を受診し、原因を特定してください。

主な原因と治療方法

  • 加齢
  • 自律神経の乱れ
  • 睡眠障害
  • 他の病気による影響

加齢による骨盤底筋群の緩みは、運動療法や上述の尿失禁治療装置による治療を行います。

自律神経や生活習慣の乱れ、睡眠障害の場合は、原因を特定し、必要に応じて泌尿器科以外への紹介も行います。

夜尿症を引き起こす病気は、過活動膀胱前立腺肥大症といった泌尿器科が扱う病気から、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群など様々です。

夜尿症は、子どもだけではなく大人もいつ発症してもおかしくありません。自覚症状が出た場合、恥ずかしがらずに必ず泌尿器科医にご相談ください。