お子さんの悩み

夜尿症(おねしょ)

おねしょの治療は薬だけで治るものでなく、体の成長が必要不可欠です。2011年には、5~6歳の就学前のお子さんでおねしょしている子は約15%いて、小学校低学年で約10%、高学年で約5%に減少するという論文も発表されています。

通常、治療は就学後から開始しますが、私の場合、対象の子どもさんの体の成長に伴って、小学3年生の春から始めるようにしています。理由は主に以下の3点です。

  • 成長と伴におねしょが治りやすくなる
  • 生活指導において自己管理がある程度できるようになる
  • 暖かい時期の方が治療効果が上がりやすい

例外として、エコー検査で腎臓や膀胱の奇形が見つかった場合は、早く対応をしたほうがよいので、年齢に関係なく総合病院を紹介しています。

おねしょの病態は夜間でも尿量の多い「多尿遺尿型」、膀胱に溜められる尿量が少ない「排尿機能未熟型」とその二つを併せ持った「混合型」に分けられ、治療においてもその鑑別が重要となります。

治療は、基本的に生活指導と行動療法が重要で、薬も使いながら、おねしょをしない体づくりをします。そして、一般的に積極的治療の初めは膀胱容量を増やすアラーム療法か、睡眠中の尿量を減らす抗利尿ホルモン製剤を用います。

その治療効果が不十分なら、更に薬を加える場合もあります。おねしょが月に1回以下になったら薬を減らしていきます。

生活指導の面では、夕食を就寝2~3時間前に済ませ、夕食後の水分、特にカフェインが含まれる飲料を摂取しないようにします。就寝前に必ずトイレを済ませ、睡眠中の保温にも気をつけてもらいます。どうしてものどが渇いたときには、氷をなめるくらいの量に控えます。

他には、どんな病気にも言えますが、寒い時期は温かくすることが大切です。あまり厳しくしてもお子さんにとってつらくなってしまいますから、飲み物は何ccまでという制限はしていません。

おねしょ治療の3原則

  • おこさず=就寝中に無理に起こしてトイレに連れて行かない
  • あせらず=治る時期もまちまちなので待ってあげる
  • おこらず=本人が意図的にしているわけではないので怒らないで、むしろしていない時にはほめてあげる

この3点を重視する必要があります。

私が治療において最も重要と考えるのは「本人の治したい気持ち」。その取り組む姿勢が大事で、そこに重点を置いた指導をしています。自分に向き合ってもらうために、カレンダーに自分でおねしょの有無をつけてもらい、減っていれば褒めて、増えたらその理由を一緒に考えて解決策を考えます。

おねしょはすぐに治療が完了するものではないので、焦らずに取り組んでいただきたいです。おねしょすることは、決して人間的に劣っているということではありません。

治療をしていると、時に、薬を飲まなかったりカレンダーをつけていなかったりと治療する気持ちが弱い子がいますが、私は決して叱りません。一旦、治療を中止して、本人の希望があれば再開するようにしています。

一番困っているのはお子さんなので、ご両親には叱らないように注意していただいて、本人の治療意欲に寄り添うような環境をつくることが重要だと考えています。

おねしょの悩みは本人のみならず家族にも深刻なものとなる可能性があります。まずはご相談ください。

精巣捻転症

精巣捻転症は、急性陰嚢症の中で主に思春期のお子さんに現れる症状で、精巣が突然捻れてしまう為に血流が遮断されて激痛となります。

6時間以内に捻れを解除しないと精巣が壊死を起こし、処置が遅れると精巣を摘出しなければなりません。

吐き気や嘔吐を伴う場合もあり、陰嚢が痛いということが正確に表現できず「おなかが痛い」という訴えのために発見が遅れてしまうということもあります。

診断は、ドップラー超音波検査で精巣への血液の流れが低下していることを確認します。精巣捻転症と診断された場合は緊急手術を行い、ねじれた精索を戻して血液の流れを回復させて精巣を陰嚢内に固定します。

検査によって他の急性陰嚢症との区別ができなかった場合はやむをえず緊急手術を行い処置を決定する事があります。

非常に緊急性の高い疾患ですので、お子さんが腹痛や陰嚢の痛みを訴えた場合は早急に泌尿器科や救急外来を受診してください。